
グローバル化によって、大企業のみならず中小企業やベンチャー企業の海外進出は、珍しいものではなくなりました。海外で会社を設立する際には、多くの国において定款の作成・認証が求められます。この定款の様式は国によって異なるため、現地の言語や法律、またビジネスに詳しいプロの翻訳者の翻訳が欠かせません。
ここでは、まず定款とは何かを説明します。また定款を英語に翻訳したサンプルをいくつか紹介しますので、参考にしてください。
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そもそも定款とは

定款とは、会社を運営していくための基本的規則をまとめたものです。「会社の憲法」とも呼ばれ、会社はこの定款に則って運営されます。ここでは、この定款について詳しく説明していきます。
記載内容は3つに分類される
定款は、国内においても会社設立の際には必ず作成する必要があります。作成に関しては、会社法で「法律に違反しない範囲で自由に定めてもよい」とされています。具体的な内容は、会社の名称や事業内容、本店所在地などの基本的なことから、株式発行数や役員の数や任期までとさまざまです。
そして作成後は、会社の本店所在地を管轄する公証役場において認証の手続きが必要となります。
ただし、記載する内容は自由に決めることができますが、定款には必ず記載しなければいけない項目がいくつかあります。これを絶対的記載事項と呼びます。定款の内容は、この絶対的記載事項のほかに、相対的記載事項と任意的記載事項の3つに分類されます。
必ず記載する絶対的記載事項とは
絶対的記載事項とは、次の6項目のことです。
・会社の名称
・会社の事業内容
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価格または最低額
・発起人の氏名または名称および住所
・発行可能株式総数
相対的記載事項と任意的記載事項とは
相対的記載事項とは、必ず記載しないといけない訳ではありませんが、定款に記載することで効力が生じる項目のことです。
・取締役会、監査役、会計参与などの機関設計
・株主総会招集期間の短縮に関する規定
・取締役会の設置に関する期間
・取締役および監査役の任期伸長
一方、任意的記載事項とは、会社が基本的事項としてあえて定款のなかに記載する項目のことです。定款に記載しなくてもその効力が否定される訳ではありませんが、社内的かつ社外的にその内容を明らかにすることを目的として記載されます。任意的記載事項の項目として、次のような内容が考えられます。
・定時株主総会の招集時期
・事業年度
・取締役などの役員の人数
海外定款との違い

それでは、日本と海外の定款はどのように違うのでしょうか。
海外の定款は様式が異なる
アメリカの定款は、基本的事項を記載した「articles of incorporation」と組織運営を定めた「bylaws」で構成されています。articles of incorporation には、日本の絶対的記載事項と同様に会社の名称や事業目的、所在地など基本的な項目が記載されます。他方、bylawsには、組織運営のためのルールが記載されます。イギリスの定款もアメリカと同じように「memorandum of association」と「articles of association」から構成されています。
それでは、海外の企業が日本に進出した場合はどうでしょうか。日本企業が海外へ進出するだけでなく、海外企業も日本への参入が進んでいます。特に、日本語と英語では文法が大きく異なるため、熟練した翻訳者の翻訳が欠かせません。
また、日本における定款認証のための必要な書類や一連の流れも知っておく必要があります。日本語が得意というだけでは不十分であり、日本の慣習や法律にも精通していることが求められます。
定款を英語にする目的とは
定款を英語に翻訳するのは、次のような目的のときです。
・海外に日本企業の子会社を展開するため
・日本企業の支社を海外に展開するため
・自社の規約や基本規則の内容を海外の取引先から求められた場合
・子会社を海外展開する際の許可を得るため
現地の言語で定款をきちんと翻訳することで、社外的に会社の信用を得ることにつながります。コスト重視で中途半端な翻訳をしてしまうと、ビジネスにおいてはデメリットしかないでしょう。
翻訳会社FUKUDAIは、法律翻訳にも豊富な実績を持ち、高品質な定款翻訳を提供することができます。海外のビジネス経験を持つエキスパートが多数在籍しており、それぞれの国の法律や規則、文化の違いにも精通しているため、微妙な表現の違いにも配慮した自然な訳文を心がけています。
定款を英語へ翻訳する

それでは次に、日本語の定款を英語へ翻訳した場合のサンプルを紹介します。翻訳自体はプロの翻訳者に依頼することをおすすめしますが、ある程度はどのように違うのかを把握しておくことも必要でしょう。また、あくまでもサンプルなので、別の翻訳の仕方もあります。
定款の主な翻訳サンプル
定款は、会社のガバナンスの形態によって異なりますが、通常、次の6章を含みます。
第1章 総則
第2章 株式
第3章 株主総会
第4章 取締役及び取締役会
第5章 監査役及び監査役会
第6章 会計
ここでは、第1章の総則に記載するいくつかの内容を英語に翻訳します。総則には、会社の名称や事業目的、所在地、機関などが記載されます。
表題部の翻訳サンプル
和文:第1条(商号)
当会社は、〇〇株式会社と称し、英語では、〇〇 Inc.と称する。
英語:Article 1 (Company Name)
The name of the Company shall be “〇〇Kabushiki Kaisha” and in English, “〇〇 Inc.”
事業目的の翻訳サンプル
和文:第2条(目的)
当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
(1)・・・・・・
(2)・・・・・・
(3)・・・・・・
(6)前各号に附帯する一切の事業
英語:Article 2 (Purpose)
The purpose of the Company shall be to engage in the following businesses:
(1)・・・・・・
(2)・・・・・・
(3)・・・・・・
(6)Any and all other activities ancillary to the above.
この条項には、事業目的となる項目がずらっと並ぶことになります。当然のことながら、会社によって内容も順番も異なります。しかしながら、最後の項目だけは「前各号に附帯する一切の事業」という表現で結ばれます。
所在地の翻訳サンプル
和文:第3条(本店の所在地)
当会社は、本店を東京都港区に置く。
英語:Article 3 (Location of Head Office)
The head office of the Company shall be located in Minato-ku, Tokyo.
機関の翻訳サンプル
和文:第4条(機関)
当会社は、株主総会および取締役のほか、次の機関を置くものとする。
(1)取締役会
(2)監査役
(3)監査役会
英語:Article 4 (Organs)
The Company shall have the following organs in addition to the General Meeting of Shareholders and Directors:
(1) Board of Directors;
(2) Corporate Auditors;
(3) Board of Corporate Auditors; and
ここでも、会社によってどのような機関を置くかは異なります。
定款の翻訳でお悩みの際はぜひ翻訳会社FUKUDAIにお任せください

定款は、会社の基本規則を定めたものです。会社の信用に関わることなので、きちんとした翻訳が大切であることはいうまでもないでしょう。
翻訳会社FUKUDAIであれば、定款を正確に訳するだけでなく、読みやすさにも配慮して翻訳しています。定款を読む人が、すんなりと読めるためにもプロのスキルが必要です。定款の翻訳を検討しているなら、翻訳会社FUKUDAIがおすすめです。
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