翻訳コラム
2021.02.26
翻訳と通訳の違いとは?それぞれの業務内容や必要なスキルを徹底解説
文書やマニュアルなど正確に文字で残す必要がある場合は翻訳が適しており、会議や商談などリアルタイムで会話をつなぐ場面では通訳が有効です。
本記事では、翻訳と通訳の違いをわかりやすく整理しながら、それぞれの業務内容・求められるスキル・向いている人の特徴まで徹底解説します。
Index
翻訳と通訳の違いは?
翻訳と通訳の違いは、目的と使われる場面にあります。
翻訳は書かれた文章を正確に別の言語へ置き換える作業で、文書として残るため高い精度が求められます。一方、通訳は話された言葉をその場で訳す仕事で、会議や商談などリアルタイムのやり取りを円滑にする役割を担います。
「正確に文字として残す必要があるのか」「その場で会話をつなぐ必要があるのか」という目的の違いによって、選ぶべきサービスは異なります。
| 翻訳 | 通訳 | |
|---|---|---|
| 扱う情報の形 | 書かれた文章・文書 | 話された言葉 |
| 成果物の形 | テキスト(文書・字幕など) | 口頭での訳出 |
| 主な用途 | 契約書、マニュアル、報告書、出版物など | 会議、商談、イベント、医療、旅行案内など |
| 特徴・メリット | 正確性・校正が可能・記録が残る | リアルタイム性・即時コミュニケーション・柔軟性 |
| 注意点 | 校正作業が必要・納期がある場合も | 訳抜けやニュアンスのズレが起きやすい・集中力が必要 |
翻訳とは
翻訳は主に「書く」作業で、時間をかけてじっくり進める仕事です。翻訳者は原文の意味やニュアンスをしっかり伝えるために、資料やツールを使って繰り返し見直します。原文を適切な形式に変換し、翻訳メモリを利用して訳文を作成し、新しい部分を翻訳するという手順を踏みます。翻訳者は用語集やスタイルガイドを参考にしながら翻訳を行い、別の翻訳者による校正を経て仕上げます。 翻訳者の主な仕事は、文書や映像を別の言語に訳すことです。例えば、英語の本を日本語に翻訳したり、映画のセリフを別の言語の字幕にしたりします。翻訳では、結果がテキストとして残るため、正確さが重要で、しっかりとしたチェックが必要です。
通訳とは
通訳は「話す」作業で、その場で即座に言葉を変えて伝える仕事です。通訳者は、聞こえた言葉をすぐに他の言語に訳さなければならないため、事前の準備時間はありません。文脈に沿って意味を正しく伝えるため、通訳者の経験や記憶力、反射神経が重要です。通訳は、会議や医療の場面、テレビの生中継など、すぐに翻訳が必要な場面で活躍します。
通訳者は、異なる言語を話す人たちがスムーズにコミュニケーションできるよう、話された言葉をリアルタイムで訳します。会議や商談などで即時に訳すため、迅速で柔軟な対応が求められます。
通訳の種類と業務内容

通訳には、会議や商談、大規模会議、医療現場などで使われるさまざまな方式があります。代表的なものには、同時通訳・ウィスパリング通訳・逐次通訳などがあり、場面ごとに適した手法が異なります。それぞれの特徴を踏まえ、依頼内容に合った方式を選ぶことが重要です。ここからは、それぞれの通訳方式について詳しく見ていきます。
| 通訳の種類 | 特徴 | 適した場面 |
|---|---|---|
| 同時通訳 | 発言を即時訳出、機材使用、交代制 | 国際会議、大規模イベント |
| ウィスパリング通訳 | 少人数向けにささやきで訳出 | 商談、小規模ミーティング |
| 逐次通訳 | 発言後に訳す、時間がかかるが正確 | 商談、インタビュー、小規模会議 |
同時通訳
「聞く」「訳す」をほぼ同時に使いわける難易度の高い通訳方式です。相当な集中力が必要な作業となり、業務時間に合わせ複数人数で15分程度ごとに交代しながら通訳していく形がスタンダードです。また、適切な機材設備を使用することで、安定した通訳音声を届けることができます。
ウィスパリング通訳
通訳を必要とする1~2名の傍でささやくように(ウィスパー)通訳を行います。簡易機材を使用して複数名の方へ向けて通訳することが可能です。同時通訳の範疇となり集中力を要するため、長時間の業務は複数名で担当する場合があります。
逐次通訳(ちくじつうやく)
話し手(話者)の発言の区切りごとに訳していきます。話者の発言→通訳→話者の発言→通訳と、話者と通訳者が交互に話すため、同時通訳と比べると、会話時間は長くなります。
通訳者に必要なスキル

では、具体的に通訳者に必要なスキルにはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは通訳者に必要なスキルを3つ厳選し、詳しくご紹介していきます。
1.理解力・表現力
当然のことですが、外国語と同等の日本語力が求められます。相手が話した内容を瞬時に解釈し、趣旨や要点を理解して他言語に変換する能力が問われます。特に相手の立場や状況を考えた対応が必要で、表現方法も変わってくるため、話者の意図を誤解がないように伝える必要があります。
特に日本語は主語がはっきりしないまま話す人が多く、婉曲(わんきょく)表現も珍しくないため、高度な理解力と表現力が必要とされます。
2.情報収集力・調査力
通訳パフォーマンスの質を保つために必須であり基本的なスキルです。通訳者は、仕事を受けたら本番に向けて入念な準備が必要となります。事前に共有してもらう会議資料にはもちろん目を通し、加えて「業界知識」や「社会情勢」等にアンテナを貼っておくと、突然のユーモアや予定外の内容を話し始める話者に対して、柔軟な対応が可能となります。
3.コミュニケーション力・判断力
通訳が必要な会議やイベントでは「予想外のトラブル」が発生する可能性を想定しなければなりません。海外講演者の到着の遅れや、ネットワーク障害によって生じる急なプログラム変更、英語堪能な日本人による予定していない英語の発言等、様々な事態に備える必要があります。 近年は、これらの状況に応じて対応できる柔軟性を必要としているクライアントが急増しています。
翻訳の種類と業務内容

翻訳には、目的や媒体によっていくつかの代表的な種類があり、それぞれ必要とされる専門知識や表現スキルが大きく異なります。
主なものは、ビジネスや実務文書が中心の「産業翻訳」、文学作品や書籍を手掛ける「出版翻訳」、そして映画やドラマなどを扱う「映像翻訳」の3つです。
ここからは、これら主要な3分野について詳しくご紹介します。
| 翻訳の種類 | 対象 | 求められるスキル/特徴 |
|---|---|---|
| 産業翻訳(実務) | 技術文書、契約書、マニュアル等 | 専門用語の知識、正確性、整合性 |
| 出版翻訳(文芸) | 小説・ノンフィクション・雑誌など | 表現力、文体維持、文章としての魅力 |
| 映像翻訳 | 映画・ドラマ・動画などの字幕/吹き替え | 映像理解、タイミング、自然な表現 |
産業翻訳(実務翻訳)
企業や官公庁等で発生する技術文書、契約書、特許関連文書等の翻訳を指します。翻訳市場の9割は産業翻訳が占めており、最も仕事が多い分野です。
業界特有の専門用語を翻訳する力が必要となります。
出版翻訳(文芸翻訳)
小説やノンフィクション作品、雑誌、児童書等の出版物を翻訳する仕事です。海外で出版された雑誌や書籍が対象となります。文芸作品は作者の意図を読み取り、表現する力が求められます。翻訳力だけではなく、文章力や表現力が必要とされるジャンルです。
映像翻訳
映画やドラマ、ドキュメンタリー等の映像作品の音声を翻訳し、吹き替えのセリフや字幕を作成します。台本と映像を参照しながら翻訳を行う仕事です。
吹き替えのセリフを作成する場合は、口の動きに合わせられ、なおかつ音声としてわかりやすい言葉に訳し、字幕を作成する場合は瞬時に理解できるような言葉を使います。
翻訳者に必要なスキル

前半部分で、通訳者のスキルについてご紹介してきましたが、もちろん翻訳者にも必須スキルがあります。この項目では翻訳者が必要とするスキルを3つ厳選してご紹介していきます。
1.読解力
文章を扱う翻訳者は、原文を読解する力が最も大切です。翻訳対象の主語や目的語が抜けている、背景や専門知識の情報がないと理解が難しいという状況は珍しくありません。
そのため、文章の趣旨、要点を的確に理解し、適切な表現で翻訳する能力が求められます。
2.情報収集力・調査力
こちらは通訳者にも翻訳者にも必要な能力です。用途や分野に応じて辞書を使い分けることはもちろん、日々各業界の最新情報や動向に目を向けておくことで、必要な知識をストックできます。
納期が短い場合は時間をかけて情報収集できないことも多くあるので、日頃から蓄えた予備知識が品質(文章のクオリティ)を左右します。
3.自己管理力
翻訳作業は「対人」ではないため、基本的には地道で孤独な作業となりがちです。その中で最大限のパフォーマンスを出し続けるためには、スケジュール管理と自己マネジメント能力が非常に重要となります。
情報収集スキルを高めるための時間確保も自己管理力の1つに数えられます。日々の勉強と訓練が問われる能力です。
翻訳と通訳が求められるスキルの違いについて
ここでは、翻訳と通訳が求められるスキルの違いについて説明します。
正確さ
翻訳は時間をかけてツールや資料を使い、文化的背景や最新の語彙を考慮しながら、細かいニュアンスまで正確に訳します。一方、通訳は時間的制約があり、瞬時に正確な意味を伝える必要があります。言葉選びが迅速でなくても、理解されることが重要です。
コミュニケーション能力
通訳は生身の人間と直接やり取りするため、発話者の感情やニュアンスも再現する必要があります。翻訳でもコミュニケーション能力は重要ですが、即興的な要素は少なく、原文の真意を共感して伝えることが求められます。
日本語能力
通訳と翻訳の両方で高い日本語能力が必要です。翻訳は時間をかけて詳細に訳すことができますが、通訳は話が進む中で全体像を把握しながら即座に的確な語彙や表現を用いる必要があります。
まとめ

ここまで通訳と翻訳の違いについて詳しくご紹介いたしました。通訳と翻訳が全く違うものであるという事や、それぞれ必要とされるスキルの違いについても解説いたしました。
特に、企業や官公庁等で発生する技術書や契約書等の翻訳には高い技術が必要です。
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