
翻訳コラム
2023.10.13
技術翻訳とは?翻訳者に求められるスキルや依頼時の注意点を解説!

「技術翻訳」とはその名の通り、技術系の文章の翻訳全般のことを指します。技術と一口にいっても分野は幅広くありますが、どの分野でも専門的な知識が必要になります。
単純に翻訳するスキルだけではなく、技術の素養が問われる技術翻訳は、一般的に「高度な翻訳」として分類されがちです。
では、その技術翻訳に求められるスキルや翻訳会社に翻訳を依頼する際の注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は技術翻訳についての解説も合わせてご紹介いたします。
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技術翻訳とは?
技術翻訳は「産業翻訳」とも呼ばれ、特に各種の専門技術に関連した文書の翻訳を指します。
技術翻訳で翻訳されるのは、製品についての取扱説明書や据付説明書、仕様書等の技術文書や電子データが主なものとなります。
近年では自然科学分野でも必要とされており、中でも工業技術分野やソフトウェア産業が多く、コンピューターや通信、電子、電気、機械、自動車、建築、エネルギー、医学、薬学、化学、生物等が対象となります。
これら自然科学分野の文章には専門用語が多く含まれるため、翻訳するにはその分野の専門知識に精通している専門家が翻訳を行うことが大切となります。
しかし、その分野の専門家であり、なおかつ多言語の翻訳に長けている翻訳者というのはそれほど多くないのが現状です。
翻訳の主な仕事の種類
翻訳の仕事は大きく分けて、「文芸翻訳」「実務翻訳」「映像翻訳」の3つに分類されます。
文芸翻訳
小説などの文学作品を翻訳する分野で、作者の表現や世界観を壊さないように訳す高いセンスと日本語表現力が求められます。単なる直訳ではなく、読者に作品の雰囲気を伝えるための言葉選びが重要であり、翻訳者の腕が作品の評価や売れ行きに大きく影響することもあります。
実務翻訳
ビジネス文書やマニュアル、契約書、研究論文など、実務に関わる資料を翻訳する仕事です。企業や学術機関で使用される正確性の求められる内容が多く、今回紹介する「技術翻訳」もこのカテゴリに含まれます。
映像翻訳
映画やドラマ、ドキュメンタリーなどの映像作品に字幕や吹き替え用の翻訳を行います。画面に表示される文字数が限られるため、短く分かりやすい表現が求められます。
また、言語だけでなく文化や習慣の違いも考慮しながら、自然なセリフになるよう工夫が必要です。
技術翻訳者に求められるスキルは?
技術翻訳を行う翻訳者にはある一定のスキルが求められます。どのようなスキルが必要とされるのか、詳しくご紹介いたします。
多言語スキル
まず必要なのは
- 外国語(英語など)を正しく理解し読み書きできるスキル
- 母国語(日本語)を正しく理解し読み書きできるスキル
この2つです。合わせて「多言語スキル」と呼ばれます。
いわゆる「語学力」は必要ですが、仕事の内容によっても必要な語学力は異なってきます。
ライティングスキル
一般的な文章が書ければ問題無く仕事をすることが可能です。できればタイピングのスピードを上げることで作業効率が上がり、仕事の報酬も上がる傾向にあります。
異なった言語の翻訳を担当するのであれば、大幅に作業効率の向上が見込めるタイピング等を身につけておくのがお勧めです。
専門分野に関する知識やスキル
【特定の専門分野の知識】
基本的な知識を取得している専門分野知識を活用していくため、ほとんどの技術翻訳の募集要項には「業務経験歴何年以上」等と書かれていることが多く、それなりの知識と経験が必要となります。
【調査力・IT機器の習得】
専門分野知識に特化した情報を収集し、文章にしていくスキルが求められます。現代ではその大半がIT機器の操作で実現できるため、同時にIT機器の習得も必然的に必要となります。
翻訳というと専門的で職人気質なイメージを想像する方がほとんどですが、現代ではインターネットで活用できるアプリや機能を使いこなしていける人材が求められています。
つまり、作業を効率化するためには、様々なスキルを「かけ算」して活用していくことが必要になってきます。
語学力も非常に大切なスキルですが、語学力と同様「専門分野に関するスキル」も重要です。
技術翻訳をAIに任せるリスク
AI翻訳を利用する際に注意すべきなのが、データの取り扱いに関するセキュリティ上のリスクです。特に無料で提供されているAI翻訳ツールでは、ユーザーが入力した内容が自動的に保存され、AIの学習データとして使用される可能性があります。
これにより、翻訳対象となった文書が意図せず外部に利用されることがあり、個人情報の漏洩や機密情報の流出といった深刻な問題を引き起こすリスクがあります。
翻訳会社に翻訳を依頼する際の注意点は?

上記でご紹介した通り、技術翻訳は非常に高度な翻訳であるため、基本的には「翻訳のプロ」である翻訳会社に依頼するのがベターといえます。しかし、どんな翻訳会社でもいいという訳ではありません。
ここからは、翻訳会社の選び方と翻訳を依頼する際の注意点についてご紹介いたします。
専門知識は把握しているか
まず依頼前に、翻訳を依頼したい文書はどのような専門性が必要か、またどの程度高度なものなのかを把握しておくことが重要です。原本の情報を参考にし、どのレベルの翻訳者を確保する必要があるのか、翻訳会社は知っておく必要があります。
そのため、どのようなバックグラウンドがある翻訳者が適切か、あらかじめ伝えた方が安心な場合が多くあります。
技術翻訳の種類によって求められる翻訳の知識が違う上に、翻訳会社に登録されている翻訳者の数もまちまちであるため、過去に類似の案件を経験したことがある翻訳会社か、確認できるのであればしておくといいでしょう。
場合によっては翻訳に「校閲」を入れる
翻訳の品質確保のために、校正や校閲を入れるのも1つの手段です。
校正は翻訳中に専門的なチェックを入れること、校閲は仕上がった翻訳のみを専門的観点から校閲することです。
校閲の場合には仕上がった訳文のみを見るため、不自然な表現や意味の通らない文書に気がつきやすくなります。
ただし、校正や校閲は必ずしも必要な訳ではなく、翻訳担当者のレベルや依頼主のニーズによって変わってくるのがポイントです。
トライアル翻訳も有効
適切な翻訳のためには「トライアル翻訳」の工程を入れることも検討すると良いでしょう。
トライアル翻訳とは、翻訳の一部を先に訳してもらい、途中でその内容をチェックすることで、翻訳の方向性を調整する作業のことです。
チェックを行うことで、適切な訳や表現ができているかどうかが確認できます。
トライアル翻訳の工程を入れることで、翻訳の品質確保につながる上、理想の表現や要望を伝えやすくなり、満足のいく翻訳に仕上がります。
翻訳会社FUKUDAIの技術翻訳の事例
翻訳会社FUKUDAIで実際に行った技術翻訳の事例をご紹介します。
取扱説明書の翻訳事例
海外市場向けに製品を展開する製造業のお客様より、英語の取扱説明書を台湾繁体字へ翻訳し、InDesignでのDTP編集も含めて対応してほしいというご相談がありました。翻訳対象は約20ページ。日本語原稿がなく、英語から直接翻訳を行う必要があったため、翻訳の精度や自然な表現への不安が課題となっていました。
特に懸念されていたのは、英語からの直訳では現地ユーザーにとって不自然な表現になってしまう可能性があること。そして翻訳後のレイアウトも見やすく整える必要があるという点でした。また、翻訳とDTP作業を別々に発注するのではなく、ワンストップで対応できる体制が求められていました。
こうした課題に対し、FUKUDAIでは以下のような解決策をご提案しました。
まず、翻訳とInDesign編集の両方に対応できる体制を構築。TradosなどのCATツールとDTPソフトを連携させることで、翻訳作業とレイアウト編集の効率を高めました。また、翻訳には台湾在住のネイティブ翻訳者を起用し、仕上がり後には現地DTPスタッフとの連携で内容と表現をダブルチェック。専門性と自然な言い回しの両立を図りつつ、視認性にも配慮したドキュメントを仕上げました。
その結果、翻訳からレイアウト調整までを一括で進行できたことで、スムーズな進行と納期短縮を実現。現地の言語感覚に合った自然な文章表現により、製品の魅力が正しく伝わる、信頼性の高い取扱説明書を納品することができました。
FUKUDAIではこのように、翻訳精度と実用性の両立を目指した技術翻訳に対応し、海外展開を支援する高品質なサービスを提供しています。
マニュアルの翻訳事例
国内装置メーカーからは、日本語のマニュアル(約18万文字)を英語に翻訳する案件をご依頼いただきました。サービス内容は翻訳およびクロスチェックです。
クライアントはこれまで複数の翻訳会社にマニュアルや取扱説明書の翻訳を依頼していましたが、同じ単語に異なる訳語が使われるなど、文書全体の統一性に課題がありました。また、外注先を一本化することで、コストの見直しや業務効率化を目指していました。
FUKUDAIでは、原稿に頻出する語句や表現を抽出し、あらかじめ用語集を作成。翻訳支援ツールと組み合わせて使用することで、全体の訳語を統一し、明確で一貫性のある翻訳を実現しました。さらに、ポストエディットと人力翻訳を組み合わせたハイブリッド体制を導入。AIによる自動翻訳をベースに、人の手で丁寧に仕上げることで、通常の人力翻訳と同等の品質を確保しつつ、納期を約20%短縮することができました。
最終的に、大量の原稿にもかかわらず、訳語や表現の統一を維持。品質の整合性を確保しながら、コスト削減にもつながる翻訳ソリューションを提供しました。
技術翻訳に自信があります!ぜひ翻訳会社FUKUDAIにご依頼下さい
翻訳会社FUKUDAIの産業技術翻訳サービスでは、各技術専門分野に精通した専門性の高い翻訳経験者(技術者・エンジニア等)が多数在籍しております。原稿の内容に応じて、最適な翻訳者を選定し作業に当たるため、高品質な翻訳の実現が可能です。
もちろん、品質面以外でも、納期や予算、用語管理に関するご相談等、お客様のご要望を的確に捉え、最適な提案をさせていただいております。
技術翻訳に自信があります!ぜひ翻訳会社FUKUDAIにご依頼下さい。
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監修者
翻訳会社FUKUDAI 代表取締役
鈴木 宏基