
翻訳コラム
2025.09.25
翻訳業務を劇的に変える「Phrase TMS」とは?コスト・納期・品質を向上させる革新的なツールを解説

Phrase TMSとは、翻訳プロセスを効率化し、品質を向上させるための翻訳支援ツール(CATツール)のことです。このツールは、単に文章を訳すだけでなく、過去の翻訳データや用語集を一元管理することで、チームでの共同作業をスムーズにし、大規模な翻訳プロジェクトを効率的に進行させることを可能にします。
株式会社FUKUDAIでは、政治・経済、金融、法律、マーケティング、工業、医薬など、多岐にわたる分野でこのPhrase TMSやTradosといったCATツールを積極的に活用しています。
これらのツールは特に、翻訳メモリ(TM)や用語ベース(TB)がすでに存在する大規模な案件や、ファイル数が多い案件で、その真価を発揮します。
この記事では、Phrase TMSがどのようにして翻訳プロジェクトの納期短縮、コスト削減、品質向上という3つの大きなメリットをもたらすのかを、具体的な事例を交えながら詳しく解説します。
Index
納期短縮:スピーディーなプロジェクト進行を可能に
翻訳プロジェクトにおける納期は、お客様にとって最も重要な要素の一つです。Phrase TMSは、以下の2つのアプローチで翻訳期間を大幅に短縮します。
複数翻訳者による同時作業
大規模な翻訳案件では、複数名の翻訳者が同時に作業を進められるかどうかが、全体の納期を大きく左右します。Phrase TMSを導入することで、複数の翻訳者がリアルタイムで進捗状況や用語の統一を確認しながら、並行して作業を進めることができます。これにより、品質を維持しながらも、効率的なプロジェクト進行が実現します。
例えば、60,000ワードの医療機器マニュアルを英日翻訳するケースを考えてみましょう。
- 従来のプロセス
- 翻訳:30営業日
- レビュー:15営業日
- DTP・プルーフ:5営業日
- 合計:50営業日
- Phrase TMS導入後のプロセス(3名の翻訳者が並行作業)
- 翻訳(3名並行):平均15営業日
- レビュー:7営業日
- DTP・プルーフ:3営業日
- 合計:25営業日(従来の50%短縮)
このように、複数名での同時作業により、翻訳期間を半分にまで短縮することが可能です。
翻訳メモリ(TM)の活用
納期短縮のもう一つの鍵は、過去の翻訳データの再利用です。Phrase TMSは、過去に翻訳したデータを翻訳メモリとして蓄積し、新規案件に類似した文章が含まれている場合に、そのデータを再利用します。
例えば、60,000ワードの案件で、過去の翻訳メモリと以下の内訳で一致したとします。
- 100%一致(60%):即時再利用が可能な部分
- 36,000ワード分
- 部分一致(20%):修正候補として提示される部分
- 12,000ワード分
- 新規翻訳(20%):新たに翻訳が必要な部分
- 12,000ワード分
この場合、翻訳作業は以下のように効率化されます。
再利用部分(36,000ワード)は転記とチェックのみで完了し、5営業日で処理可能です。
修正部分と新規翻訳部分(合わせて24,000ワード)の翻訳とレビューに12営業日かかります。
レビューとDTPは3営業日となります。
その結果、合計で約20営業日でプロジェクトを完了させることができ、これは従来のプロセスに比べて60%以上の短縮効果です。
コスト削減:長期的な視点で翻訳費用を最適化

Phrase TMSの導入は、初期費用や管理コストが発生するものの、長期的には大幅なコスト削減につながります。
特に効果が大きいのは翻訳メモリの再利用によるコスト削減です。新規案件において過去の翻訳データが活用できるほど、翻訳コストは低減します。
例として、従来の単価で60,000ワードの翻訳に120万円かかる案件があったとします。もし、翻訳メモリの活用により50%の文章が再利用できれば、翻訳コストは半分になります。
株式会社FUKUDAIの実績では、案件によって変動はありますが、
30%〜60%のコスト削減効果が確認されています。これは、継続的に翻訳を依頼されるお客様にとって、特に大きなメリットとなります。
品質向上:翻訳の一貫性と精度を高める

Phrase TMSは、納期やコストだけでなく、翻訳品質の維持・向上にも大きく貢献します。
用語の一貫性
特に医療や法律分野など、専門的な文書では用語の一貫性が非常に重要です。Phrase TMSでは、共有の翻訳メモリや用語集を使用することで、複数名の翻訳者が作業しても、特定の単語やフレーズの訳を統一することができます。これにより、プロジェクト全体の品質が向上します。
レビュープロセスの効率化と精度向上
翻訳後のレビュー作業は、品質を保証する上で欠かせないプロセスです。Phrase TMSでは、変更箇所や部分一致の箇所に絞ってレビューを行うことができるため、レビュー担当者の負担を軽減しつつ、精度を向上させることができます。
バージョン管理の明確化
翻訳メモリには、各セグメントの編集履歴や変更内容が自動的に記録されます。これにより、誰がいつ、どのような変更を加えたかが明確になり、品質保証やトレーサビリティが向上します。
継続案件での自動的な品質向上
翻訳メモリは、プロジェクトを重ねるごとに蓄積されていきます。継続して依頼いただく案件では、過去の翻訳資産を繰り返し活用できるため、自然と品質が高まっていくという好循環が生まれます。
まとめ:FUKUDAIの翻訳サービスにおける「Phrase TMS」の強み
株式会社FUKUDAIは、先進的な翻訳支援ツールであるPhrase TMSやTradosを最大限に活用し、お客様に以下の3つの価値を提供しています。
納期短縮:複数翻訳者による並行作業と翻訳メモリの再利用により、最大60%以上の納期短縮を実現します。
コスト削減:翻訳メモリの活用で、最大50%のコスト削減効果が期待できます。
品質向上:用語統一、効率的なレビュープロセス、そして履歴管理を通じて、翻訳の一貫性と精度を高めます。
Phrase TMSを活用した当社のサービスは、納期、コスト、品質のすべてを最適化する「三拍子揃った」ソリューションです。翻訳プロジェクトの効率化や品質向上をご検討の方は、ぜひFUKUDAIまでご相談ください。
著者
翻訳会社FUKUDAI 代表取締役
鈴木 宏基