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2018.10.30

簡体字と繁体字の違い: 中国語翻訳の基礎知識

世界でも特に習得が難しい言語のひとつだとされている中国語。その理由のひとつが独特の発音で、学生時代や社会人になってから中国語を勉強したことのある方のなかには、「ピンイン」と呼ばれる発音や、「四声(声調)」と呼ばれる4つの音の変化がマスターできずに途中で挫折してしまった方も多いのではないでしょうか。
その一方で、古代中国から日本に伝わった文字である「漢字」を使う私たち日本人にとっては、中国語の読み書きというのは話すのと比べて比較的容易だと言われています。とはいえ、日本語で使われている漢字というのは長い歴史の中で日本独自の変化を遂げてきているため、中国語の漢字とは異なるものも数多くあります。
そこで今回は、中国語で使われる漢字「簡体字」と「繁体字」について一緒に勉強していきましょう!

中国語表記文字の種類

数多くの言語がある中、世界でも多く使われている言語のひとつである中国語ですが、ひと口に中国語と言っても地域によって北京語や広東語、上海語、香港語など話されている方言はさまざまです。特に北京語と広東語は全く異なる言語と言っても良いぐらい違いが大きく、同じ中国人であっても理解できないことも珍しくありません。

中国語表記文字の種類

また、日本語が102音で構成されているのに対し、中国語の発音は400種類(音程の上げ下げを含めると1600種類)と非常に多く、この複雑な発音の種類こそが、中国語が世界で最も習得の難しい言語であると言われる理由のひとつとなっています。そして、中国語で使われている文字ですが、これはご存知の通り漢字です。その種類は、現在中国国内で通用している「簡体字」と、中国で古くから使われていた伝統的な「繁体字」の2つに分けることができます。

簡体字と繁体字はそれぞれどんな特徴がある?

簡体字と繁体字の特徴とは

では、「簡体字」と「繁体字」にはそれぞれどんな特徴があるのでしょうか。日本語の漢字の中には「繁体字と同じもの」と「簡体字と同じもの」がどちらも存在します。

海外ビジネスで中国語の翻訳が必要になった際には、簡体字と繁体字の選択を間違わないように気を付けましょう。

ここではそれぞれの特徴を見ていきましょう。

簡体字(Simplified Chinese)

簡体字(かんたいじ)というのは、1950年代に制定された漢字のことで、それまで一般的に使われていた繁体字の画数を減らし、簡単な表記に変えたものです。現在の中国やシンガポールなどで使われている漢字はこの簡体字で、中国語の公式文書にも利用されています。

  • 馬 → 马
  • 體 → 体
  • 國 → 国

繁体字(Traditional Chinese)

繁体字(はんたいじ)というのは伝統的な中国語のことで、簡体字が制定される以前に使われていた画数の多い漢字のことを意味します。略体字(りゃくたいじ)と呼ばれる日本の漢字に近いのが特徴です。台湾や香港、マカオなどでは現在もこの繁体字が使われています。

  • 體育

中国語における簡体字と繁体字の歴史的背景と文字改革

なぜ簡体字が生まれたのかを知ることで、その限界や変換時の落とし穴が見えてきます。
1950年代以降の中華人民共和国政府による識字率向上政策の一環として、字画削減・字体統一が推進されました。
簡化対象は主に画数の多い漢字、複数の同義字、部首の統廃合など。

ただし改革の過程で、「簡化すべきではない語彙」「例外」「異字体対応」も生じ、それが後の変換問題の源泉になります。
一方、台湾・香港では、歴史・文化的理由から従来の繁体字を維持しつつも、簡体字とは異なる字体整理・規範化が行われています。

簡体字と繁体字の地域別の使用実態

以下は、主要地域における簡体字/繁体字の使用状況と傾向です。

地域 使用文字 特記事項
中国(大陸部) 簡体字 政府公式文書・教育・新聞すべて簡体字
台湾 繁体字 正體字(正体字)とも称す
香港 繁体字(ただしローカライズ字体) 広東語表記、字形規則も一部異なる
マカオ 繁体字 ポルトガル語併記が多い
シンガポール 簡体字 中国語政策で簡体字を採用
海外華人・華僑 地域依存 出身地域・世代で簡体/繁体を使い分けることが多い

簡体字の繁体字の違いとは

簡体字の繁体字の違いとは

簡体字と繁体字の違いについて、日本語では想像できませんが、簡体字のネイティブが繁体字を読むことはできますが、正しい表記は出来ません。例え、おおよその内容を理解できたとしても、繁体字の単語や表現が多く使われているため、違和感を覚えてしまいます。

ここでは簡体字と繁体字の違い、さらには翻訳を依頼する時に押さえておきたいポイントをご紹介します。

漢字での表記の違い

簡体字と繁体字は同じ漢字であってもその表記方法が大きく異なります。例えば、ホテルは簡体字で「酒店」と表記されるのに対し、繁体字では「飯店」と表記されます。また、レストランは簡体字で「餐厅」、繁体字で「餐廳」、歓迎は簡体字で「欢迎」、繁体字で「歡迎」です。

意味 簡体字 台湾繁体字 香港繁体字(例)
ホテル 酒店 飯店 飲酒店
レストラン 餐厅 餐廳 餐廳
歓迎 欢迎 歡迎 歡迎
文化 文化 文化 文化
電話 电话 電話 電話
書籍 书籍 書籍 書籍
会社 公司 公司 公司
経済 经济 經濟 經濟
効率 效率 效率 效率

文字コード・エンコーディングの違い

文字コード(エンコーディング)は、Web やデータ処理時に文字表示・保存を正しく行う上で極めて重要です。
台湾や香港で伝統的に使われてきた繁体字は Big5 コード体系を用いるケースもあります。
中国本土の簡体字は、UTF-8 や GB2312 / GBK / GB18030 系統で表現されることが多いです。
もし Web サイトが誤ったエンコード設定で繁体字を表示しようとすると、文字化け(「口口」など)や別字化(異体字表示)などの問題が発生します。
例:「紹興酒」は日本語と繁体字で漢字が同じだが、割り振られている文字コードが異なるため、サイト上で混在させると文字化けリスクが高まります。

対応策・注意点

HTML やコンテンツ管理システム(CMS)では、UTF-8 を基本として使い、繁体字も含めて統一的に扱えるよう設定を行う。
旧来の Big5 系サイトを移行する場合、文字コード変換ツールや変換チェックを慎重に行う。
JavaScript・CSSフォント指定時、字体差異を吸収できるフォント(繁簡両対応フォント)を採用する。

繁簡変換の注意点と課題

自動的に簡体字⇄繁体字を変換する際には、以下のような落とし穴があります。

  • 一対多変換:簡体字のある一字が、複数の繁体字候補を持つ場合がある(例:「后」 → 「後」「后」など)
  • 語彙差異:簡体字圏・繁体字圏で使われる語彙が異なることがある(例:「手机」 vs 「手機」,「电脑」 vs 「電腦」)
  • 固有名詞・地名:固有名詞・地名は慣習的字体が異なるため、自動変換で誤りが生じやすい
  • 文字スタイル差異:画線の太さ・書体・正字体 vs 略字体の違いにより、変換後の見た目が違和感を生む
  • 文法・語順面の違い:字体変換だけでは対応できない語順・言い回しの違いが残る

変換ツールを使う際には、必ず専門家によるチェックを入れるべきです。

翻訳・ローカライズ時のポイント

翻訳時には、単に文字を変えるだけでなく、ターゲット地域・文化を意識した調整が必要です。

  • ターゲット地域の言語習慣を調査する:台湾・香港で使われる語彙・慣用句を優先する
  • フォント選定:繁体字・簡体字両方に対応したフォントを使う
  • 表記統一ルール:サイトや文書内で簡体字/繁体字のスタイルを統一
  • 固有名詞対応:翻訳用語集(用語ベース)で固有名詞・ブランド名などの字体を固定
  • 校正レビュー:現地ネイティブまたは経験豊富な校正者による最終チェック
  • 自動変換ツールの併用:第一稿は自動変換 → 校正・修正を組み込むワークフロー

インバウンド対策で翻訳を行う場合、簡体字と繁体字のどちらで翻訳すると良い?

2020年に東京オリンピックを控え、今後ますます多くの外国人が観光に訪れることが予想されている日本では、訪日する外国人観光客を集める「インバウンド対策」に力を入れる企業が増えています。

簡体字と繁体字でのインバウンド翻訳

では、実際にインバウンド対策として中国語の翻訳を行う場合、簡体字と繁体字のどちらを使って翻訳をするのが良いのでしょうか。

繁体字は現在の中国では使われていない漢字ですが、台湾や香港、マカオなどでは常用されている漢字です。そのため、本来は2種類の翻訳をするのが理想ですが、手間やコストのことを考えると現実的に難しいケースも多いと思います。その場合、多くの人が読める簡体字を利用するのがおすすめです。とはいえ、その企業が誰をターゲットとしているのかによっても、使用すべき漢字は異なります。そのような部分も踏まえたうえで、どちらの翻訳を先に進めるのかを検討し、費用やリソースの準備ができたら片方の言語も翻訳するようにしてみましょう。

中国語翻訳について悩んだ場合はぜひ翻訳会社FUKUDAIへご相談ください

上記のように、簡体字と繁体字というのは地域によって使われているものが異なります。中国語の翻訳をする際には、ターゲットとなる層がどちらの漢字を使用しているのかを事前に詳しくリサーチしたうえで、最適な漢字を用いて翻訳をしていきましょう。

繁体字と簡体字の中国語翻訳の相談・問い合わせ

また、翻訳を依頼するときの流れと、用意すべきものについて把握して、翻訳依頼にチェックしておくべきポイントを押さえておけば、想定した通りの翻訳が出来上がります。

翻訳会社FUKUDAIでは、中国語翻訳をはじめ、東南アジア言語・欧州言語など、15カ国以上の翻訳依頼を承っております。
また、簡体字翻訳と台湾に特化した繁体字翻訳の専門サービスを開設しており、翻訳の品質が気になるお客様に向けて、無料翻訳トライアルも実施しております。

中国語翻訳に関するご相談は、ぜひ翻訳会社FUKUDAIまでお気軽にお問い合わせください。

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監修者

翻訳会社FUKUDAI 代表取締役

鈴木 宏基

株式会社トーメンや株式会社ロームにて、10年以上にわたり海外営業に従事。その後、翻訳者としての経験を積み、株式会社福大を創業。翻訳事業を立ち上げ、代表取締役に就任。

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